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「誰よ、あんた」
不意に現れたガラの悪い男にシェイラは魔法の杖を構えて聞いた。
「おっ・・・俺は悪い奴じゃねえよ。杖を納めてくれ。俺はただの盗賊だ。」
「盗賊?・・・悪い奴じゃないの。私たちに何の用?」
シェイラは杖を納めずに盗賊に聞いた。
「情けねぇ話なんだが、お譲ちゃんに頼みてぇことがあってな。」
「何?」
「この森を出るまで、用心棒になってくれないかと・・・」
「はぁ?」
シェイラは呆れていた。盗賊が用心棒を頼むなんて。
「この森はよぅ、妖魔がぞろぞろいてよぅ、落ち着いて寝てもいられねえんだ。そこに、お譲ちゃんのような魔法師さんが、現れたから・・・」
「用心棒に頼みたいと。」
「そうなんだ。頼む。」
手を合わせて頭を下げる盗賊。
「いいけど、高いわよ。」
「いくらでも出す。」
「先払いで100ぺル。」
「それは、ちょっと、高くないかい。」
「1ぺルも負けないわよ。」
盗賊は考え込んでいたが、
「よし。50ぺルに欲しい宝石をやろう。それで、我慢してくれねえか。」
「森をでたら、高そうな宝石を追加。両手に一杯」
「背に腹は変えられないわね。わかった。手を打ちましょう。」
「よし、これで契約成立だな。」
「よかった。今日から安心して眠れる。仕事もできる。」
「ちょっと、仕事には、手伝いしないわよ。あくまで、妖魔退治だけよ。」
「わかっとる。そうときまったら、アジトに案内するからついてきてくれ。」
「ちょっと待って。魚食べるの待ってて。お腹が空いてて動けないの。」
「わかりやした。少し待ちます。」
シェイラが食事を終わるまで、盗賊は、待ってた。
そして、満足したシェイラ一行は、用心しながら男の後をついていった。
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