第7章 北へ

3/5
前へ
/25ページ
次へ
「誰よ、あんた」 不意に現れたガラの悪い男にシェイラは魔法の杖を構えて聞いた。 「おっ・・・俺は悪い奴じゃねえよ。杖を納めてくれ。俺はただの盗賊だ。」 「盗賊?・・・悪い奴じゃないの。私たちに何の用?」  シェイラは杖を納めずに盗賊に聞いた。 「情けねぇ話なんだが、お譲ちゃんに頼みてぇことがあってな。」 「何?」 「この森を出るまで、用心棒になってくれないかと・・・」 「はぁ?」  シェイラは呆れていた。盗賊が用心棒を頼むなんて。 「この森はよぅ、妖魔がぞろぞろいてよぅ、落ち着いて寝てもいられねえんだ。そこに、お譲ちゃんのような魔法師さんが、現れたから・・・」 「用心棒に頼みたいと。」 「そうなんだ。頼む。」  手を合わせて頭を下げる盗賊。 「いいけど、高いわよ。」 「いくらでも出す。」 「先払いで100ぺル。」 「それは、ちょっと、高くないかい。」 「1ぺルも負けないわよ。」  盗賊は考え込んでいたが、 「よし。50ぺルに欲しい宝石をやろう。それで、我慢してくれねえか。」 「森をでたら、高そうな宝石を追加。両手に一杯」 「背に腹は変えられないわね。わかった。手を打ちましょう。」 「よし、これで契約成立だな。」 「よかった。今日から安心して眠れる。仕事もできる。」 「ちょっと、仕事には、手伝いしないわよ。あくまで、妖魔退治だけよ。」 「わかっとる。そうときまったら、アジトに案内するからついてきてくれ。」 「ちょっと待って。魚食べるの待ってて。お腹が空いてて動けないの。」 「わかりやした。少し待ちます。」  シェイラが食事を終わるまで、盗賊は、待ってた。  そして、満足したシェイラ一行は、用心しながら男の後をついていった。
/25ページ

最初のコメントを投稿しよう!

18人が本棚に入れています
本棚に追加