18人が本棚に入れています
本棚に追加
第8章 占い師との出会い
北へ進路を定めたシェイラ達は、黒龍が住むと言うウィリーキングマウンテンを目指し歩き始めた。
途中、雑魚妖魔や中級妖魔風の魔物に会ったが、大した苦もなく撃退しながら旅は、続いていた。
「どれくらい歩けばウィリーまでたどり着くのだろうね。」
歩けど歩けど、なかなか近づかないウィリーキングマウンテンのすそのにある街にたどり着かないと、飽きが来ていたシェイラだった。
お金の蓄えは、いくらかあったため、街にたどり着けば野宿はしなくてすんだのだが、街と街の間隔が長いため、野宿することも何度かあった。しかし、慣れたせいかシールドをしっかりかけて置けば、妖魔を気にせずに眠ることも覚えた。
何度目かの街に着いたときのこと。
街の入口で占いをやっているようなお婆さんに声をかけられた。
「もしもし、そこのお嬢さん。あなた、魔法師の方かしら?」
見れば分かるじゃない、服装で。
そう思ったが、(お年寄りには、丁寧に)と、教わったので
「そうですが、どうかなさいましたか?」
と、丁寧に聞くと
「お嬢さんには、魔法の才能があるのに、知識が乏しいと水晶が言っておる。そのために、危険な目にあったとき、対応できない・・・と、水晶が警告を発しておる。」
ドキッ!
確かに、学校はダントツの成績で卒業した。しかし、それ以降は誰にも教わっていないため、使える魔法は限られていた。
しかし!何も不自由はしてない!
出来ないところは、使い魔がやってくれるもん。
「使い魔に頼ってばかりはいけないよ。」
ズッキ!
この婆さん、痛いところをついてくる。
でも、教えてくれる人なんて居ないもん!
開き直るシェイラの心を読んだように占い師は言葉を続けた。
「今まで通った街には、魔法教会とか魔法図書館とかが無かったわけでもなかろうに。」
痛い、痛い。胸の奥に呪いの釘が突き刺さってくる。
確かに、途中の街には、魔法を学べる所があったかも知れない。しかし全てをスルーしてきた。
「だって、今まで、苦労した事なんて無かったもん。」
シェイラは反論した。
「それは、使い魔がいたからじゃ。しかし、使うものが進歩せねば、使い魔も進歩しないぞ。」
ならばと、シェイラは反撃する。
「じゃあ、私にどうしろと言うの?」
占い師にかみついた。
「幸に、この街、ル・アーブルには、特級魔法師がいる魔法師教会とか大きな魔法図書館がある。そこを訪ねて学ぶがよい。」
学ぶがよいって
「何を学ぶのよ。今の私は困っていることないもん!」
占い師は答えた。
「そうさのう、例えば、お嬢さんが持っている宝石の使い方とか・・・」
何で、あなたが知っているのよ。宝石を持っているなんて。
確かに、宝石を取り上げたけど使い方、分からなかったけど。
「分かったわよ。教会の魔法師に会って、これからのことを相談してみるわ。忠告ありがとうね。」
そう言って、シェイラ達は、ル・アーブルの街に入って行った。
最初のコメントを投稿しよう!