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第10章 錬金術との出会い
シェイラが座っている席の向かい側に、モルドレッドが座った。
「錬金術を覚えたいって、本当?」
モルドレッドがシェイラに尋ねた。
「もらった宝石の有効的な使い方を、知りたいんです。例えば、アミュレットとかにして売るとか、お金に変えるとか。とにかく、もらった宝石が小さな物ばかりで。」
山賊から取り上げた宝石に、シェイラは、不満らしい。
「そうなの。それは、お困りね。ところで、錬金術ってどんなことが出来るか知ってる?」
改めて聞かれると、不安だが。
「金属なんかを違う物質に変えてしまう術ですよね。」
「定義は、鉛などの卑金属に一定の人為的操作を加えることで、金や銀などの貴金属に変える技術のことね。大体は合っているわ。さすが、優等生ね。」
シェイラは、胸を撫で下ろした。
「じゃあ、簡単で、実用的な術を教えてあげましょう。その小さい宝石を今、持っている?」
はいと頷き、持っている袋を出した。そして、テーブルの上に置いて、広げて中身を見せた。
「確かに使いづらそうな物ばかりね。これを、何に変えたいの?」
「取り合えず、お金。それと、これを入れたアミュレット。」
シェイラは、準備していた魔方陣の紙を出した。
「お守りとして売ろうかと。」
「分かったわ。では、その魔方陣の紙を置いて、宝石をいくらか出して。」
シェイラは言われた通りにした。
「フィネストラ」
静かな声で、モルドレッドは呟いた。するとどうだろう。机の上の宝石はバラバラに砕けてしまった。
「凄い!」
シェイラは息をのむ。
続けてモルドレッドは、呪文を、唱える。
「デュ―ロ」
すると、先程まで粉々になっていた宝石が、一つの固まりとなった。しかも、よく見ると、中には魔方陣が入っていた。
「凄い!」
シェイラは、手を叩く。
「これは、上級魔法の初歩よ。憶えておくと便利よ。」
シェイラは、その宝石を手に取ってみた。何処にも切れ目はない。素敵な宝石のアミュレットだ。
「凄いですね。こんな魔法があったなんて。」
「あなたも少しは、上級に近づく努力をしなさい。さあ、もう一つ作りましょう。シェイラさん、挑戦してみて。
シェイラは、もう1枚用意してた魔方陣を広げ、ルビーを少しその上に置き、先程の呪文を思い出しながら、宝石の上に手をかざした。
「フィネストラ」
すると金色の光が出てルビーは、粉々になった。
「上出来、上出来。後は固まりを作るだけね。どんな形にしたいか思い描きながら呪文をかけるのよ。
どんな固まりにしよう、シェイラは丸い形を頭に描き、粉々の宝石の上に手をかざし呪文を唱えた。
「デュ―ロ」
粉々のルビーは一つの丸い姿に変わった。
「やるわね。1度の講義で出来る生徒は、なかなか居ないわ。スバラシイ!」
モルドレッドは、嬉しそうに手を叩いた。
「2階に魔法図書館があるからそこで、色々な呪文とか対処法とかを学んで行きなさい。あなたのためになる本が必ずあるから。」
「ブルーナ!」
モルドレッドは、ブルーナを呼んだ。
ブルーナが来たのを見て、指示を出した。
「シェイラを、2階の図書館に案内してくれるかしら?」
「承知しました先生。シェイラさん。私に付いてきて下さい。」
シェイラを、送り出したモルドレッドは、
「あの子、何者かしら。どうだろうと、才能有りすぎて、苦労しそうね。」
モルドレッドは、そっと、呟いた。
図書館に来たシェイラは、蔵書の多さには驚いた。
何処に、何があるか分からない状態なのである。
「ブルーナさん。見たい本はどうやって探せばいい?」
「それは簡単です。この台に調べたいことを言えば、本は、現れます。また、不要になったら[戻れ]と命じれば戻ります。どうぞ、納得するまで、読んでいって下さい。では。」
そう言うと、ブルーナさんは、戻って行った。
残されたシェイラは、ん~と考えていた。
「何を調べようか」
そう言いながらも、2、3時間本をあさった、シェイラだった。
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