第12章 受難

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第12章 受難

「受難ねえ受難。何だろう、受難って。」  占い師の言った言葉が気になっていた。  だから、疲れと日程を半減しようと風で飛ぶ方法を取った。  日中は極力、妖魔に会わないようにと。    そんな旅の仕方をした3日目の時、ドンという音がして地上に落とされた。 「何?何があったの?」  シェイラ一行は何があったか驚いて、辺りを見渡した。  すると数m先に大きな化け物が立ちはだかっていた。 「待っていたぞ、光の魔法師。我は妖魔を束ねる者である。我の贄となれ。」  シェイラは何を言っているのかわからなかた。  妖魔を束ねる者?   贄になれ?  何を寝ぼけたことを言っているのだろう。  逆にやっつけてやる。 「何が贄よ。ボケるなら妖魔達に言いなさい!」 「ディグボルト!」 シェイラの差し出した手の平から電撃が生まれ妖魔に届いた。 「まだまだこんなものじゃわしを倒せぬぞ。これはどうだ!」  妖魔の手から電撃が放たれた。シェイラはシ―ルドでかわしたが威力がハンパない。 「ヴァ・ル・フレア」  シェイラの手の平から強力な爆炎矢が放たれた。  これには妖魔もよろめいたが、まだやられそうない。 「凍りついてしまえ!」 妖魔から無数の氷の破片が飛んできた。 「ウインディーネ、シ―ルドで防いで!」 シェイラに氷の破片が届く前に水の妖精霊が防御する。 「氷の魔法なら負けないわよ!ラ―フリ―ズ」  強烈な冷気が妖魔に届く。 これには一瞬、妖魔は凍ったが直ぐに立ち直り反撃にでた。 「これならどうだ」 妖魔は一転、炎の魔法でシェイラを襲う。 「シルク、吹き消して!」  風の精霊がシェイラに炎が届く前に消し去った。 「どうしよう。なかなか決まらない!」  そんなとき 「オレを忘れちゃいませんか?」  シェイラの頭に男の声が響く。 「ダ―クネス!助けて」  シェイラは叫んだ。 「やっと思い出してくれたか。」 シェイラの頭上に綺麗な顔をした男が現れた。 「遅いぜ。呼ぶのが。ハラハラして見てたのに〜」 まるっきし緊張感のない台詞をはいて出て来たのは、魔王貴族。 「お前は誰だ!」  妖魔は叫ぶ。 「死ぬ前に教えてあげましょう。オレは魔法貴族。シェイラのナイトだ。  良くもオレのシェイラをイジメたな。罪は重いぜ。」  そう言うと、手の平を妖魔の頭の上にかざし、 「死ね、ゲス野郎」 と言って力を込めた瞬間、ダ―クネスの手の平から雷光が生まれ、妖魔に放った。  それは一瞬の事だった。妖魔は砂の固まりとなり風でとばされてしまった。 「こんなに早く倒せるなら、何で早く来てくれなかったのよ。」  シェイラは、ダ―クネスにお礼ではなく、クレ―ムを言う。 「だって、シェイラが呼んでくれなかったから」  と、演技まがいにすねて見せた。 「取り合えずありがとう。これで、安心して旅が出来る。じゃあ、また呼んだらよろしく!」  そう言って、手を振り、歩き出した。 「わがままなお嬢様だな」  ダ―クネスも気にせず、 「またな!」  と言って消えてしまった。  ハラハラしてたのは召喚獣達である。 「シェイラ、魔王貴族に関わるのはやめようよ。闇に引きずり込まれたらどうするの」 「それはないと信じてる。私を気に入ったって言ってくれてたし」  あっさりとしているところは、シェイラのいいところでもあるが、相手が相手だけに、心配する召喚獣達であった。  それからの旅は、何もなく、無事、ウイリィーキングマウンテンの裾野についた。
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