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友人のテミスは合格したと聞いた。自分も頑張らなきゃ・・・とシェイラは緊張しながら控室で待っていた。
「シェイラ・ラファエル。試験会場へ。」
試験官は魔法省の上級魔法師3人と賢者と呼ばれる1人。
試験会場に入ったシェイラは張り詰めた空気を感じ、一瞬、息苦しさを感じた。
「シェイラ・ラファエル、中央へ。」
試験官から声をかけられ、シェイラは試験会場中央へ移動した。
「それでは、これから卒業試験を行います。魔法技術試験です。時間は1時間。あなたの相手をするのは、魔法省中級魔法師カトリーヌです。そして、この会場には私が結界を張っていますので、力の加減は必要ありません。力の限りを出し尽くして下さい。何か、試験の事にたいして質問はありませんか。」
試験官の言葉を聞いて、シェイラは耳を疑った。
卒業試験の相手は初級魔法師だったと試験を受けた生徒たちから聞いていたのに、なぜ中級魔法師?
「ちょっとお待ちください。」
シェイラは疑問に思ったことを試験官に聞いた。
試験官はその問いに答えた。
「学園の先生方から、あなたは、魔法の杖を体内に封じることが出来ると聞きました。そして、使い魔は、他の生徒たちは1体だけ召喚出来たのに対して、あなたは一度に3体を召喚したとか。あなたの魔法力の加減が計り知れないと先生方が言うので、あなたの相手には中級魔法師を選びました。我々も、あなたの力を見極めたい。了承してくれますね。」
「・・・えぇ~!?」
シェイラは不満を口にし、不機嫌な表情をした。これで不合格にされたら話にならない。
「そんなの、ちょっと練習すれば誰だって出来るかと・・・。召喚獣は、勝手に3体出て来ただけだし・・・」
そう、彼女の護り獣は他の生徒が1体に対し、シェイラは一度に3体出したと学園では有名である。
その抗議に対して試験官が答えた。
「それは、私たちが見極めます。もちろん、合格基準は、他の生徒たちと変わりありません。力を見極めたうえで、魔法力の加減も考えています。それで納得していただけないでしょうか。」
その言葉に、シェイラは渋々了承した。
全力で頑張ってみるしかないと、覚悟を決めた。
「それでは、試験を開始します。両者、中央へ。」
「それでは、卒業試験を開始します。」
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