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のんびりと鼻歌を歌っていると突然お風呂のドアががらりとあいた。 カラスのような漆黒の髪が日本人形みたいな女の子。 一畳さんだった。 「あら、こんにちは」 一畳さんは抑揚のない声でそう言った。 私は 「あ、どうも」 と小さな声で返す。 一畳さんのことが私は実は少し苦手だった。 城ヶ崎さんは憧れ。 一畳さんは苦手。 それからうちのクラスにもう一人いる女の子…は私は名前すら知らない。 うちのクラスは全部で7人。そのうち女の子は私を含めて4人。 7人で一年間以上24時間ほとんどを至近距離で過ごしながら私たち女の子はちっとも仲良くなれずにきた。 私は男子のクラスメートと仲がいいけれど、後の女の子たちは見る限りいつも一人だ。 よく発狂しないものだとずっと不思議に思っていた。
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