十一、蜜月と嘘月

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……。 今さらながら、男同士でいつの間にか恋人かどうか悩む自分に滝汗が浮かんできた。 それなのに、同時に甘酸っぱい気持ちも浮かんでくる。 男同士なのに――、そう悩む暇もなく無理矢理抱かれた後も怒涛の日々で、同性だと嫌悪する暇も権限も無かった。そういう道徳的な感情を欠如させているのかもしれない。 では、大切に扱ってもらっている今、俺たちの関係ははっきりと言うべきなのだろうか? 頭の中がぐるぐるする。 絶対に立花さんはそんな言葉言わない。 そもそももっと言葉が欲しい時でも立花さんは喋らないし。 じゃあ、やっぱ俺がはっきり言って宣言しておくべきなのかな? そうしなきゃ、今の関係ってちゃんとした恋人にならない? そもそも恋人なんて居たことが無かった俺は、告白なんてしたことないしな。
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