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先ほどの荒々しいキスで濡れた唇は、立花さんの乾いた唇に吸い寄せられて絡みつく。
「本音を言わないこの唇は、何のためにあるのか」
「ふぁっ」
ぐっと指が奥に入って喉が苦しくなる。
両手でソファにしがみ付きながら、頭を振る。
「何を隠している?」
隠してなんかいない。
本当にこれは俺が自分で立ち向かわなければいけない問題だから。
「俺に頼れ、榛葉」
頼れ、本音を言え、隠し事をするな。
そう言いながら、貴方は俺を押し倒し自由を奪い、声を発することを妨げている。
矛盾している自分の行動には何も疑問を持たないの?
指が苦しくて涙が滲むと、口の中から指は引きぬかれた。
「……」
少しは優しくなったし、俺の気持ちを汲み取ろうとしてくれているし、行動は乱暴だけれど、きっと心配してくれているんだと思う。
「これ以上、どう守ってやればお前は満足なんだ」
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