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ドアを閉めながら、菊池さんは場を和ませようとウインクすると、俺を自分の机に座らせるように促す。
「でも、俺、立花さんを追いかけないと!」
「今は無理だよ。追いかけてもどうせ、また無理矢理酷いことされて仲がこじれちゃうんじゃない?」
ワンパターンだよって菊池さんが笑う。
「君たちって本当に身体だけしか繋げてないんだね。あの夜、社長が入院した時に一夜過ごしたのに、なんでそんなに簡単に擦れ違っちゃったの」
ケラケラと笑いながら、ファイルのデータをパソコンに打ち込みだす。
菊池さんにとっては、煎れと立花さんのこの擦れ違いは茶番にしか見えないんだ。
「教えて下さい。どうしたら立花さんは俺を信じてくれますか?」
「うーん、信じる? 信じる、信じる、ねえ。私、信じてっさ言葉言われると、ああ、今から綺麗事を並べてくるのかなって逆に疑うからなー」
菊池さんでさえそう思うならば、立花さんはもっと俺を信用してくれないんだ。
「でもね、社長の方がきっと悪いよ。で、社長の顔色を伺っちゃう君も悪い。不器用で、威圧的で、ガキで、自分勝手で、力で押さえて来ちゃうような嫌な奴でしょ? 社長って」
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