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『で、できなっ』
『――出来ないなら、引き金部分まで押し込んであげます。締めつけた瞬間、引き金も引いてしまっ たりしてね』
「榛葉、手をどけろ」
「いやっい、やっ」
「――もう、さっき全部見ている」
「――っ」
どれだけ隠したいと思っていても、俺は、俺が知らない榛葉の姿がある方が許せない。
榛葉は、震える手を俺の目から離すと、そのまま自室へ走って逃げていく。
――逃がすものか。
何度も何度も、逃げられるのは我慢ならない。
ドアを閉めようとした榛葉の腕ごと浚い、胸の中へ閉じ込める。
「離してっ」
「抜糸もまだだから、暴れられたら――傷が開くぞ」
つまらない嘘だ。
だが、馬鹿な榛葉には十分すぎる呪文なのは、分かっていた。
もがくが、暴れる力が弱くなった榛葉を、俺の寝室へ連れ去り、ベットサイドへ座らせた。
真っ赤な目で泣いていたが、ぱっと両手で顔を隠してしまった。
「恥ずかしいのか?」
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