十一、蜜月と嘘月

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Side:榛葉 最初、ただの意地悪かと思った。 また、俺は彼を怒らせたのかなって。 俺は人を不快にさせるのが本当に上手だよねって思った。 でも、違う。 彼は俺の恐怖を、快感で上書きしようとしてくれている、らしい? でもなんか、ちょっとやっぱり意地悪で、焦らして焦らして焦らしてくるから。 クリームが肌から落ちていく感触ですらくすぐったくて、声を殺すの集中していたら、クリームを塗られていた部分から、反応した俺のものはゆっくりと立ち上がってきていて、恥ずかしい。 両手で隠そうとしたら、足を持っていろと言われ、太股の後ろを自分で持っている情けない姿。 でも、優しい。 立花さんが俺を触る指先が優しい。 剃刀が怖いことがばれてしまったけれど、何故だろう。 その恐怖を立花さんが受け止めてくれた瞬間、許された気がした。 何にって言われると、自分でも首を傾げてしまう。
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