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そうして、
いつもカメラに向ける、
余所(ヨソ)行きの笑顔を浮かべながら
「ごめんなさい。そうじゃないの……。
私の言葉が足りなかったわね?
もし、結婚とか考えるんだったら、この業界で力のある人にしておきなさいって、言われたの。
私、いつか、この国を代表するような素敵な女優になりたいって思ってるの……。
まだ若いし、結婚にこだわることもないなって……。
社長に言われて目が覚めたの。私のことをここまで育ててもらった恩もあるし。
だから、あなたとは結婚できないの。ホントにごめんなさい」
なかなか納得なんて、
してくれなかったんだけど、
彼が根負けするまで演じきったわ。
自分でも驚くくらいの完璧なお芝居だった。
彼が、
「解ったよ。君の意見を尊重するって言ったのは僕の方なんだし……。
僕が一人で舞い上がってただけだった。そういうことだね。僕こそ、ごめん」
そう言ってたくらいだもの……。
*続きは後編ヘ*
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