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そんな私の耳に、
「まぁ、けど、それだけ大事なもんってことは、俺やミルクにとっては、ライバルでもあるんだけどな…」
そんな言葉が流れこんできた。
……え?
ライバル……?
どういう意味なんだろうって思い疑問を口にすると、
「どういう意味?」
「……ん? あぁ、だって母親にとって子供は自分の腹ん中で育てて、命がけで産むだろ?
そんな自分の分身みたいな存在が、可愛く笑ったり喋ったりするようになってみろよ?
俺やミルクが敵うわけねぇだろ……。なぁ?ミルク」
なぁんて、
拗ねたように言う海翔には唖然としてしまったけど、
その間も私のお腹を大事そうにずっと撫でていて。
海翔の横顔をチラリと盗み見てみれば、
とっても嬉しそうに満面に笑みを浮かべて、
本当に幸せそうな表情をして笑みを零している。
ねぇ、海翔、知ってる?
私は、
毎日こうやって、
……色んな海翔に出逢う度に、
何度も何度も恋に落ちてるんだよーー。
だから、
海翔のライバルなんて、
どこにも存在しないんだよ
お腹の中に居るこの子でさえも、
海翔に適うことなんてないんだから……。
海翔のあったかい腕の中、
私は心の中でそっと呟いた。
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