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月夜の灯りで、互いの輪郭をなぞる。
青白く浮かび上がる、狼の身体に鼓動が速くなるのが止まらなかった。
目が慣れてきたころにはお互い汗でしっとり濡れた身体が、お互いの肌に離れたくないと名残惜しそうに吸いついていく。
粘膜をすり合わせ、声を上げ、布団を乱し、背中にしがみつく。
肩に噛みついてしまったのは、狼が俺の奥へ奥へ侵入するからだ。
その切ない痛みを、それでもずっと刻みたくて、離したくなくて腰に足を絡める。
好きだと思う。
こいつが。
こいつが俺の中に侵入してくる痛みが。
道を踏み外したと人が笑うなら、こいつがどんなに良い男が自慢してやる。
だが、こいつの縛り癖に適応できるぐらいの愛があるのは、きっと俺だけだろう。
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