プロローグ

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ちっくしょう。 パンツがねーと、作業着はスースーするだろうが。 二階のベランダは俺が修復してやったが、もうこの家もボロイから建てなおすべきなんだよな。 二階に上がって洗濯ものを見れば、ビンゴ。 俺のパンツだけ、一昨日から干しっぱなしのようだ。 糊が効いたようなパリパリのパンツが一枚、風に揺れている。 青と黒のしましまのボクサーパンツを取ろうとすると、木の手すりがピキピキとひび割れる様な、木が腐ったような音がした。 「嘘だろ」 手すりごと俺は地面へ落ちて行くのをスローモーションで他人事のように見ている。 『美形ガテン作業員、自宅の二階から転倒。手にはパンツが!?』 そんなニュースの見出しが頭を過りながら、走馬灯さえ見えず落下した。 「んもう。――――危ないじゃない」
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