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俺が落ちたのは、堅いアスファルトや地面ではなかった。
誰かの腕に、抱きとめられるようにキャッチされてしまったんだ。
俺を抱きとめられるほど、ガタイが良くて身長があるだと!
思わず睨みつけたそいつは、色っぽい泣き黒子が印象的な、色男。
同じ男とは思えないほど、繊細な作りの顔で女みたいな艶が滲んでいる。
「あら。今丁度、貴方のベランダに干してある下着を見て、貴方のだろうな、欲しいなって思ってたのよぅ」
「は?」
「それなのに、本人が落ちてくるなんて、まさか運命? やだん。貰っていいのかしら」
低い声でしなを作るような、寒気がする声。
こいつ――オカマ!?
「きもっ 下ろせよ」
「酷いわね。助けてあげたのに」
紫色の渋い色の着物から、――綺麗な鎖骨と、大きな喉仏が見える。
「久しぶりね。私が大学で上京しちゃってからだから、六年ぶりね。あらやだ、身長伸びなかったんだ。可愛いじゃない」
頭をポンポン叩かれて条件反射で思わず背負い投げしてしまった。
「身長のことは言うんじゃねーよ!」
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