プロローグ

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投げ飛ばした男が、着物から見える足を内股気味にしているのに引いてしまった。 てか、 「お前、隣の呉服屋の狼じゃねーか!」 「そうよう、そうよう。酷いわ、見た瞬間に思い出してよ」 起きあがりながら泣き真似をしつつ布で涙を拭く真似をする狼に、思わず苛っとしてしまう。 男なら、もっとしゃきっとしねーか! 「おい、お前の手に持ってるもんはなんだ」 「今、どさくさに紛れて貴方から奪った、貴方の下着ちゃんです」 下着ちゃんじゃねーーー! 「返せよ! ソレがなきゃ、ノーパンで仕事しなきゃいけねーんだよ」 「ねえ、仕事って土木作業? 何してるの? 型枠? 壁?」 「いいから、返せって。てめーみたいな貧弱野郎に関係ないだろーーーー!?」 一瞬で起き上がった狼は、俺のズボンのゴムを指で伸ばして中を覗きこんだ。 「……あら、凄い」 ポッと頬を染めて、俺の大きさ、堅さ、ハリ、持久力に定評のある息子を覗きやがった。 「……縛ったら赤黒く腫れちゃうのかしら」
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