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「ちょっと! 麗一狼さんに死ねなんて、アンタが死ねってーの」
クソ可愛くない美砂がそう吐くと、今度は乙女の様にキラキラした目で麗一狼を見上げた。
「こんな可愛い浴衣、本当に貰って良いんですか。おまけにバッグに蝶の簪まで」
「ふふ。勿論よ。成人式の振袖も絶対うちで選んでね。サービスするから」
「きゃー。ありがとうございます!」
「ふん。数千円の浴衣でウン十万の振袖売るとは腹黒いな」
こいつの頭の中の算盤は恐ろしい。
「最低、クソ兄貴」
「腹黒いのはあんたよ」
すっかりうちの馬鹿二人は騙されてる。
庇われた麗一狼が申し訳なさそうに笑うのも、縁起臭くて苛々した。
「風呂! 風呂に入ってくる!」
「まだ洗ってないわよ」
「シャワーでいい!」
こんなアウエーな場所、一秒でも早くどこか行きたい。
「ちょっと青葉、あんたにも麗一狼くんが浴衣を持って来てくれてるのよ」
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