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「はあ!? ふつー、二階から落ちた兄の心配をするべきだろーが!」
「普通の兄は二階から落ちないわよ。臭いから黙って!」
「てめー!!」
女だと思って手加減してたが、もうこいつは殴っても良いレベルじゃねーの!?
そう思って拳を握り締めたら、その拳を麗一狼に握り締められた。
「駄目よ。この手は、力仕事をするための手よ。妹さんと喧嘩なんてしないでちょうだい」
「離せっ」
「女の子を殴るぐらいなら――私を殴りなさいよ、いじめっ子の青葉くん」
いじめっこ? 誰がいじめっ子だ?
「……ありがとうございます」
美砂なんて、乙女みたいに頬染めて気持ち悪いったらありゃしねー。
「美砂ちゃんは可愛いんだから、乱暴者と喧嘩なんて駄目よ。ガキの言う事なんて大人の女はスル―するものよ」
誰がガキで、誰が大人の女なのか、そこの人生相談室のオカマ野郎に聞いてやりたい。
「ほらほら、あんた達二人、本当に遅刻するよ。とっとと行きなさい」
埒が明かないと踏んだのか、母親にそう言われ、渋々喧嘩はお預けだ。
だが、振り返った時にはすでに麗一狼の姿は、俺のパンツと共に居なくなっていた。
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