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しかし、
それをはっきり見たのかどうか、
今となっては自信がない。
「怪我ないですか?
いったい何が起こったんでしょうね?
びっくりしました」
運転手兼ガイドのエデル=オールさんが
慌ててやってきて声をかけた時には、
既に夢から覚めたように今見たことが信じられなくなっていたくらいだ。
今見たことを一生懸命説明したが、
エデル=オールさんは、
「アレを見て、
生きているように感じただけじゃないですか?」
と、中央基壇のあった所を指して言った。
確かにそこには、
中国の鎮墓獣にも似たテイストの
三頭六眼三口の竜の塑像がぱっくり割れて横たわっていた。
そうなのかもしれない。
それでも、
版築というのは上から土を堅く突き固めて築くものだ。
ああいった塑像が中に埋まっていたとは考えにくい。
それに、
ポル=バジン遺跡がごく短時間に崩れ落ちた事実はどう説明する?
見ていたのは私だけではないし、
その結果は厳然として残っている。
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