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地面に這いつくばってシャッターを押すうちに、
肘に堅いものが当たった。
ゴロンと転がる感触があったので何気なく見ると、
泥団子のようなものだった。
明らかに人工物。
手に取ってみると、見た目より軽い。
中が空洞になっているらしい。
そして気づいた。
トレンチの傍らに似たような玉が幾つか転がっている。
それらに気を取られた一瞬。
手にしていた玉を落としてしまった。
泥団子のようなものは地面に落ちてべしゃっと潰れた。
中はやはり空洞で紙が入っていた。
割れた拍子にぺろんと開いて、
中に文字が書いてあるのが見えた。
ルーン体の文字だ。
ロシア語で正確には古代トルコ=ルーン体文字と呼ばれる
ウィグル=カガン国時代に使われていた古代文字である。
北欧のルーン文字に形が似ているために「ルーン体」と呼ばれるのだが、
直接の関係はなく日本では突厥文字と言った方が通りが良いかもしれない。
ただし、
この文字が使われたのは突厥だけではない
……現にウィグル=カガン国でも使われている……
ので、これもなかなか悩ましい名前ではある。
ともあれ、
これは大発見だ。
今までこの遺跡では碑文の類は発掘されていなかったはず。
この都市の秘密が明らかになるかも、
と鼻息が荒くなるのもつかの間。
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