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「う……ん」
ふいに頭の上で人の声を聞いた。
すっと日が陰った。
見上げると乱食いの歯が見えた……ような気がした。
トレンチから黒い陰とも霧ともつかないものが流れ出ている。
それは忌々しげに
……そう見えた……
残っていた泥団子を叩き潰す。
瞬間、
遺跡の城壁がすべて崩れ落ちた。
千年を越える長い年月
風雪に耐えてきた版築の壁が、
放り投げられた乾いた粘土が重力に引かれるまま落ちるように
バサリと落下した。
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