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「はぁ....はぁ....」
彼女は一人、小さな洞穴に隠れていた。
太陽の光が照り付ける乾燥した世界。
一滴の水もない無の世界。
生存競争真っ只中の世界。
旧砂漠と呼ばれるその場所は、周辺から来た部外者を寄せ付けず、その広大な砂漠を形成していた。
その環境で生きているモンスター達は懸命に生き、強靭な肉体、生命力をもつ。
まさに強者の世界。
そのような場所に彼女はいた。
いや、彼女は隠れていた。
「しくじった....」
彼女は左足を見ながら悔しげにつぶやいた。
彼女はこの旧砂漠に、とあるモンスターを狩りに来ていた。
その最中に怪我を負ってしまい、この洞穴に隠れていた。
なんとか、救助用閃光玉を使い、救助要請だけはできたが、それもいつになることかわからない。
「どうしようかな....」
残り少ない水筒の水を口に含み飲み込む。
洞穴から出ることができれば、オアシスがすぐ見えるので補給できるだろうが、そこは大型モンスターの寝床だ。
もし鉢合わせたら一巻の終わりだ。
「....ん?」
すこし、辺りが揺れた。
洞穴の入り口の砂地から、巨大な角が現れた。
いや、正確には頭蓋骨が出てきた。
それに続くように本体が出てきた。
モノブロスの頭蓋骨の色とは対照的な少し暗めの赤い甲殻。
そして、本体の半分を占めるのではないかという。一対の巨大なはさみ。
ダイミョウザザミが姿を現した。
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