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せっかく新しいフライパンを買ったのに、今回は使わないという、若干の不条理を味わうわたし。
今回カネフミくんはわたしから
“合宿なので一度に複数人分の料理を作らなければならない”
と聞いて、練習の題材に味噌汁を選んだのだった。
― ― ― ―
「実はわ・た・し、既に作ってあるの。
飲んでみてくださる?」
わたしはカネフミくんをテーブルの席に着かせ、目の前にお椀を一つ置いた。
「お前が予習するなんて珍しいな……。
でもこれ、何も入ってないぞ?」
空のお椀を出されたカネフミくんは不安そうにわたしの方を見た。
そこでわたしはおもむろに懐からシェイカーを取り出すと、そこから味噌汁をお椀に注いだ。
「どうぞ召し上が――」
パッーンンッ!!
今日も素晴らしくハリのあるハリセンの音色がこだまする。
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