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「美帆」
排水口に流れていく『ミリカ』を
見るともなく見つめていたら
後ろから真帆に声を掛けられた。
鏡に写るのはスッピンのあたし。
濃いメークで完全武装したミリカとは違う。
「もうちょっと、自分を大切にしなよ」
真帆の言葉は
あたしの胸の
深いところに突き刺さる。
「…っ!あたしだって───」
大切にしたい
大切にされたい
だけど───
一番欲しいひとは
決して手に入らない
そのスキマを埋めたくて───
『誰とでも寝る』
あたしはそんな女になってしまった
だけど誰と肌を重ねても
決して埋まらない
貴史さん
貴史さんが
あたしを抱いてくれたら───
もう死んでもかまわないのに
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