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やはり、警察に電話をして見てもらうしかないか。今ならば、死体を勝手に動かしたということで厳重注意だけで済むかもしれない。
だが、その前に一つだけ確かめてみたいことがあった。パソコンを起動させ、ネットに接続するとものは試しにと、“死体処理”について調べてみることにした。死体を処理してくれる会社があるのならば、尚のこといい。けれど、そんな小説や漫画で出てくるような会社は本当にあるのだろうか。
「嘘だろう」
思わず呟きをもらした。
いくつかのページを流し読みしていたら、『死体処理サービスセンター』なる項目が見つかった。何かの冗談かと思い、そこをクリックしてみると、恐ろしげな項目とは裏腹にどこかの清掃業者を思わせる清潔感を感じさせるホームページが開かれた。会社の経略や業務内容、ついにはアルバイトのお知らせまである。パッと見た限りでは、何の問題もなさそうな会社のように思えた。
私は半信半疑ながらも、真偽を確かめる為に受話器を取り、ホームページに載っていた電話番号に連絡を入れてみた。
「ご利用ありがとうございます。死体処理サービスセンターです」
電話の相手はハツラツとした声で言う。本当にどこにでもある会社の応対のようだ。
「あのつかぬ事、お伺いしますが、そちらでは本当に死体を処理していただけるのですか」
「はい。弊社では、ペットの死体はもちろん、人間の死体も全て問題なく処理させていただきます」
「どんな死体もですか?」
「はい。どのような事情であっても、弊社では一切事情を聞かず、係の者が運び出してくれます。それから、死体はこちらで処理をさせていただきます」
まるで、冗談みたいな会社だ。受付の女性は自分が何を言っているのか理解しているのだろうか。それとも、機械で合成された声を使ってコンピューターに喋らせているのだろうか。様々な疑問が私の脳裏を横切ったが、今は藁にも縋りたい気分だった。いち早く、死体を目の前から消してほしかった。
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