死体処理サービスセンター

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「おや?」  ビュッフェスタイルでのパーティーを楽しんでいる最中、私は立ち止まる。何十人と集まった客の中で、どこかで会ったことがある男を見かけたからだ。始め、私はどこで会ったのかを思い出そうとした。仕事の関係先や税務署、色々な場面を思い出すも急には思い出せない。 「お客様、ウィスキーなどいかがでしょうか」  私が思い出そうとしていると会場を回っていたウェイターがウィスキーを差し出してきた。私はそれを受け取った。その途端、思い出した。前にも男の前でウィスキーを飲んだことを。  男の背格好は間違いない。あの時、死体処理サービスセンターに依頼して処理をしてもらった死体だ。なぜ、あの時、処理されたはずの男がここに。いや、それ以前に、男は死んでいたはずどうして、立って歩いていられるのか。  私は衝動的に男の元に駆け寄ると、 「すいません。私と以前、どこかでお会いしませんでしたか?」  声をかけてしまった。  声をかけられた男は私の方を向くと、ギョッとしてその場から立ち去ろうとする。  間違いない。男の方も私のことを知っている。そう直感し、私は男の肩をつかみ、呼び止めた。 「どうして、逃げようとするのですか?やはり、私とは以前・・・」 「し、知らない!アンタのことなんて、知らない!」  嘘が下手な男だ。知らないと言いながらも、明らかに動揺しているし呂律が思うように回らない。  男を会場から連れ出すと、私は再度、どこに訪ねた。本当に会ったことがないのか、家の庭に勝手に入らなかったのかなど。すると、男はこれ以上、隠しきれないと思ったのか、急に大人しくなった。 「確かに、私は以前、アンタと会った。もっとも、私は死体としてですが」  やはり、記憶に間違いはなかったようだ。やはり、この男、サービスセンターに処理をしてもらったはずの死体だった男だ。しかし、こうして男が立って普通に喋っているところを見る限りでは、どうやら前提を間違っていたらしい。  私が死んでいると思った男。彼は死んでなどいなかったのだ。
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