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ガルさんの話をまとめると、王様がガルさんの腕を知り、召し抱えたい。
ということらしい。
「ガルさんはどう思ってる」
「うーん……。正直断りたい。俺の武器は個人のためのものじゃねえし。なんて綺麗ごとを言うが、そもそも王が嫌いだ」
「ぷっ、王が嫌いって……はっきり言うんだな」
「ああ、レイズのそばを離れたくないってのもあるがな」
「じゃあ断ればいいんじゃねーの?」
そうはっきりと伝えるとガルさんは難しい顔になる。
何かあるのか、やはり。
「断ればどうなるかわかるな?といわれたさ」
その言葉を聞いて、抑えがたい憤りを感じた。
身勝手な!ただの脅しじゃねえか!
俺がこの憤りと戦っていると、不意に頭に感触が。
見上げると、ガルさんが俺の頭に手を乗せていた。
「俺らのために怒りを感じてくれるのはありがたいが、無茶はしないでくれよ」
少し苦笑しながら、俺の頭を不器用に撫でる。
「少々我慢ならない」
頭を鷲掴みにされた。
「相談がしたいって言ったろ?」
そういえばそうだったか。
俺が落ち着いたところを確認して、そっと手を離してくれた。
「断るにしても、根回しがしたいんだ。あてがなくは無いんだが、巻き添えにしてしまう可能性がある。だから、亮に相談なんだ」
「なにをすれば?」
「ギルドで高ランクになれば権力、というか士族としての地位を確約される。王が関わるんだが、俺とお前の関係は知れていない。亮を利用してしまうようだが、一番確実な手がこれだ。もちろん手助けはする。俺の知り合いに腕利きがいる。変人だがな」
「いいぞ」
「……自分で言うのもなんだが、かなり無理な相談だったと思うんだが」
頭をかきながら、一つ息を吐く。
「ガルさんには返しきれない恩がある。どこの馬の骨かもわからない俺らを雇ってくれて、仕事を教えてくれたし、良くしてくれた。それが偽りだったとは思わない。だったら、ここが恩の返しどころだろうよ」
だから、としっかりとガルさんを見据える。
「無理な相談じゃねえよ」
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