いざ領地、ミノレアスへ

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朝食の片づけをした後、準備をして家を出た。 「天、屋敷に対物対魔法結界をはる。手伝ってくれ」 「わかったわ」 魔法も突き詰めてしまえば物理現象だ。 故に、天の空間支配で固定した空間に魔法は干渉できない。 それを利用した結界だ。 亮が天に魔力を流すと、屋敷の敷地全体にに魔法陣が広がる。 魔法陣構築は天が行い、亮は魔力の提供。 魔法陣で天の空間支配を行使すると、込めた魔力の分だけ結界は維持されるという仕組みだ。 「よし、ありがとう天。じゃあ行きましょう」 ミノレアス領は観光地としては栄えている。主に王族、士族、貴族の保養地としてだが。 表通りの店は大概三者のいずれかの息がかかったものだ。 一般領民は裏通りに押しこめられていた。 「このあたり、大がかりなテコ入れが必要だな」 しかし、急激な変革は反感を買う。 そのあたりのさじ加減は難関が予想された。 「でも兄さん。どうやって手を付けるおつもりですか?」 「まあ簡単に言うと裏通りを表通りにする。ってところか」 税を軽くすることで、領民の暮らしは豊かになるだろう。減税だけでかなりの効果が予想できるのは、それだけ以前の税が重かったからだ。 領民の暮らしが豊かになれば、領内の経済が発展する。 そこから立て直しを図るつもりだ。 「簡単に言うけど大変じゃない?表通りの連中が黙ってないでしょうに」 「それは大丈夫でしょう。領民の繁栄を阻害するような動きはこちらで対処すれば、奴らにとってはやりずらい町になるはずですし、こちらに歩み寄ってくるようなら、こちらのやり方に従ってもらえばいいのですから。鍵はやはり一般階層の発達ですね」 「そう、まあなるようになるってことね」 「そうなりますね」 「じゃあ対処するにも、兵備を整えるのが第一ってことですか」 「察しが良いな、そうゆうこと。次は裏通りだ」 一行は綺麗に整備された表通りの脇道へ。 一歩入れば表とは正反対で、雰囲気から違った。 町並みはボロボロ。木組みの家に、露店が並ぶ通りだった。 治安は悪くないようだが、とてもいい暮らしとは言えなかった。
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