いざ領地、ミノレアスへ

3/13
前へ
/124ページ
次へ
「営みはあるが、これは…」 「そうですね、活気がありません」 商売を行っているものは少ないがいる。しかし、値段がいささか高すぎる。 それなりに稼いでいる者向けと言うことなのだろう。 露店はにぎわっているとはとても言えるものではないし、歩いている人もいない。 「いきなり税を軽くするといっても、すぐにこの状況が改善できるわけではないが、まあ気長にやるしかない」 「資金はあるのなら手っ取り早くやったらダメなんですか?」 手早く手を付けるのなら、現存の資金(王国の国家予算の三分の二)を使って道の舗装、家の改築その他もろもろを支援することはできるだろう。支援どころか、こちらですべて賄うことも容易である。 「それは絶対に駄目だ。民の意識に領主の支援がチラついてしまっては、自身での発展はありえない。道の管理はこちらの仕事だから手配する。仕事がないなら紹介もする。きっかけだけ与えればいいんだよ」 「放任主義ですね」 「俺は領民の保護者じゃねえし」 問題点を確認するだけにとどめ、裏通りを後にした。 前述したとおり、ミノレアス領は自然が豊かである。 そしてその自然を活かしたリゾート地になっている。 年間を通して過ごしやすい気候のミノレアス領は、各領地の富裕層好んで訪れる場所になっていた。 故に、リゾート側は非常に良く整備されている。整備する資金は、領民から取り立てまくった税金だ。 まあきれいな物には裏があるという実例だろう。 「今は兄さんがオーナーと言うことになるんですよね?営業しているようですが、誰が運営してるんですか?」 リサの言うとおり、現在も通常運営している。 前領主はそういう商売の才能はあったのか、集客は上々。 確かに立地が良く資金もあったが、王国全土から集客してなおかつ利益も大量に出していたのだから、才能はあったのだろう。 その他は下衆の一言に尽きるが。 「まあ、前領主の唯一良かったところなんだが、運営を任せていた人間が優秀なやつでな。まあ、もてなすわけだからそれなりにできる奴が必要なのは当然だわな」
/124ページ

最初のコメントを投稿しよう!

969人が本棚に入れています
本棚に追加