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「営みはあるが、これは…」
「そうですね、活気がありません」
商売を行っているものは少ないがいる。しかし、値段がいささか高すぎる。
それなりに稼いでいる者向けと言うことなのだろう。
露店はにぎわっているとはとても言えるものではないし、歩いている人もいない。
「いきなり税を軽くするといっても、すぐにこの状況が改善できるわけではないが、まあ気長にやるしかない」
「資金はあるのなら手っ取り早くやったらダメなんですか?」
手早く手を付けるのなら、現存の資金(王国の国家予算の三分の二)を使って道の舗装、家の改築その他もろもろを支援することはできるだろう。支援どころか、こちらですべて賄うことも容易である。
「それは絶対に駄目だ。民の意識に領主の支援がチラついてしまっては、自身での発展はありえない。道の管理はこちらの仕事だから手配する。仕事がないなら紹介もする。きっかけだけ与えればいいんだよ」
「放任主義ですね」
「俺は領民の保護者じゃねえし」
問題点を確認するだけにとどめ、裏通りを後にした。
前述したとおり、ミノレアス領は自然が豊かである。
そしてその自然を活かしたリゾート地になっている。
年間を通して過ごしやすい気候のミノレアス領は、各領地の富裕層好んで訪れる場所になっていた。
故に、リゾート側は非常に良く整備されている。整備する資金は、領民から取り立てまくった税金だ。
まあきれいな物には裏があるという実例だろう。
「今は兄さんがオーナーと言うことになるんですよね?営業しているようですが、誰が運営してるんですか?」
リサの言うとおり、現在も通常運営している。
前領主はそういう商売の才能はあったのか、集客は上々。
確かに立地が良く資金もあったが、王国全土から集客してなおかつ利益も大量に出していたのだから、才能はあったのだろう。
その他は下衆の一言に尽きるが。
「まあ、前領主の唯一良かったところなんだが、運営を任せていた人間が優秀なやつでな。まあ、もてなすわけだからそれなりにできる奴が必要なのは当然だわな」
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