始まりの始まり

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 高二の二学期の期末テストも、今日のこの英語で終わり。  終了まで残り数分というところで、私は右上の名前欄を見た。  うん、大丈夫、“津久野(つくの)世里(せり)”ってちゃんと書いてある。  せっかく徹夜で勉強したのに、名前を書き忘れて減点されたら、たまんないもんね。  黒板の上の時計を見上げたとき、チャイムの音が鳴り響いた。 「はい、そこまで! 一番後ろの人、答案用紙を集めて」  担任で、大柄な熊田先生がパンと手を叩いた。ガタガタと椅子の音をさせながら、一番後ろの生徒が答案用紙を回収して、先生に渡す。先生は答案用紙を教卓の上でトントンとそろえてから、おもむろに言う。 「よし、これで期末テストも終了だな。明日から冬休みだからって、みんな、羽目を外さないようにするんだぞ。三学期に向けてしっかり復習をするように。それから風邪やインフルエンザには気をつけろ。なるべく人混みに行くときは……」  熊田先生の話も上の空。実は私には期末テストが始まる前から、ずっと楽しみにしていたことがある。友達の一人、野々香(ののか)に教えてもらったスマホのRPGゲーム、“魔恋奇譚(まこいきたん)”をやりたくてうずうずしてるの。  このゲームのこと、知ってる?
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