始まりの始まり

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「誰が餅の話などするか! 津久野はもうお節料理のことで頭がいっぱいなのか? まったく。体調に気をつけて有意義な冬休みを過ごすようにと言ったんだ! わかったか、津久野!」 「はい、すみません」  もう恥ずかしくて顔が上げられない。「座っていいぞ」の先生の声で、すとんと椅子に座った。 「それじゃ、掃除当番以外、帰ってよし」  先生の合図で、みんな立ち上がり、礼をして二学期は終わりだ。 「世里ってば最後の最後までやらかしちゃったね」  野々香が立ち上がって鞄を肩にかけながら言った。 「うん、もう恥ずかしい」  私は野々香と一緒に教室を出た。勇飛くんが掃除用具入れを開けてホウキを取り出すのが窓ガラス越しに見える。勇飛くんは掃除当番かぁ。 「世里はクリスマスどうするの?」  彼氏がいない歴イコール年齢の私にそんなこと訊かないでよう。 「どうするって言われても……」  情けない顔をする私に、野々香が言う。 「勇飛くんに告白しないの? うまくいけば寂しいクリスマスにならなくてすむかもよ?」 「こ、こここ、告白なんて、とんでもないっ」  私が顔の前で両手を振ってみせると、野々香が苦笑した。
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