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「うん、ありがとう。今年中に一度くらいカラオケに行こうね! じゃあね!」
笑顔の野々香が手を振って、涼太くんも片手をあげてくれた。
私は手を振って歩き出した。聞くつもりはないけど、二人の会話が耳に入る。
「野々香はテストどうだった?」
「ヤマカンはずれちゃったよ」
「ヤマカン? 何言ってんだよ、真面目に勉強しろよな」
「一夜漬け主義の涼太に言われたくなーい」
いつまでもじゃれ合う二人。本当に仲良いなぁ。私と勇飛くんがこんなふうに話すところなんて想像できない。
小さくため息をつきながら校門を出て駅を目指す。十五分ほど歩いて駅舎に入り、改札を通ってホームに上がった。
ラッキー、ちょうど普通電車が通過待ちをしている。時間が時間だからか、車内はガラガラ。
私は隅の席に座って、膝の上に置いた鞄から白いスマートフォンを取り出した。そうしてダウンロードしたままになっている、“魔恋奇譚”のゲームアプリにタッチする。
新規ゲーム開始にタッチすると、キャラの設定画面になった。登場するのは剣士と魔法使いの二人。
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