第1章

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リルカは、自分がなぜそこにいるのか解らなかった。 古びた本棚。 赤茶けた、本。 乾燥した机に、おおきな花瓶。 しおれかけた花。 部屋の扉は開いていて、外からは秋の風が吹き込んでいた。 椅子はあるのに、座らずに、 リルカは床に寝ころんでいた。 見上げる天井、舞い込む落ち葉。 どうして、わたしはここに居るの? 記憶の欠片を探してみても、 答えは見つからない。 わたしの名前。 わたしはリルカ。 それだけは解っていた。
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