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浮かび上がりそうになる涙をぐっとこらえ
テーブル越しの颯さんを見つめると、
ポケットの中から小さな小箱を取り出し、
スッと私に差し出す。
何が入っているかは見ただけでわかるけど、
一度…私が辞退したものだった。
『婚約指輪』
戴いてもつけるタイミングは少ないし、
結婚してもあんまり使用することはないだろうから、
「10年とか…そう言い節目に…戴く方が嬉しいです。
だから…」
そう言ったら、困った顔をしたけど、
納得してくれて、
その代わり、
揃いで買う結婚指輪は、
本当に自分の好きなモノを…って
こだわらせてもらった。
普段ブランドを好まない私が、
一目ぼれしたものは、身の丈に合ってないブランドに思えて
しばらく悩んだけど、
「ずっとつけているモノだから
気に入ったものにしよう…」って
颯さんも私も気に入った物にした。
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