4/13
前へ
/153ページ
次へ
浮かび上がりそうになる涙をぐっとこらえ テーブル越しの颯さんを見つめると、 ポケットの中から小さな小箱を取り出し、 スッと私に差し出す。 何が入っているかは見ただけでわかるけど、 一度…私が辞退したものだった。 『婚約指輪』 戴いてもつけるタイミングは少ないし、 結婚してもあんまり使用することはないだろうから、 「10年とか…そう言い節目に…戴く方が嬉しいです。 だから…」 そう言ったら、困った顔をしたけど、 納得してくれて、 その代わり、 揃いで買う結婚指輪は、 本当に自分の好きなモノを…って こだわらせてもらった。 普段ブランドを好まない私が、 一目ぼれしたものは、身の丈に合ってないブランドに思えて しばらく悩んだけど、 「ずっとつけているモノだから 気に入ったものにしよう…」って 颯さんも私も気に入った物にした。
/153ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3524人が本棚に入れています
本棚に追加