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「いらないって言ったけど…一応…ね。 シンプルなモノにしたから結婚指輪と一緒に 重ね付出来るタイプだと思う。」 そう言いながら、 置いた場所よりもズイッと私の方に近づけて、 「いろんなこと…あるだろうけど… ずっと俺の傍にいてください。」 きちんとプロポーズしてくれたけど、 その時はもっと曖昧な言い方だった。 「なんとなく…さ、 付き合っていた期間も短めで、 俺の都合に合わせて結婚が早まっちゃった所があるから… やっぱり出来る事は最大限にやってやりたいって言うか…」 照れくさそうな顔をして颯さんは 手持無沙汰に指輪の入っているだろう箱を握ったり 持ち上げたりしながら、 独り言のように話す。
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