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小さな小箱を開けると、
シンプルな私好みの指輪が入っていた。
「良いんですか?」
両手で包み込むように持ち
颯さんに問いかけると、
「良いに決まってんだろ。」って苦笑いを浮かべる。
結婚の準備で色々な所に行くようになったけど、
照れくさいような場所にはあまり気乗りしない様子だったのを知ってるだけに
ジュエリーショップに一人で行ったって事にも
驚きで一杯。
ポロポロと零れ落ちそうになる涙を必死にこらえて
「ありがとうございます。」と伝えると
「どーいたしまして…」っていつもみたいにぶっきら棒に答える。
それも照れ隠しだと知ったのは随分前の事。
付き合っている期間は短い方かも知れないけど、
お互いで乗り越えてきたものを思えば
色濃い期間だったはず…。
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