19人が本棚に入れています
本棚に追加
/15ページ
思い出したくない母の泣き顔。
大嫌いなしがらみから逃げ出した私。
忘れよう。
私の故郷はここ、日本ではない。
私は、ここで幸せになる。
我にかえって車に乗ると、
前方に見える対岸の家は、
おとぎの国。
かわいいコビトがおどけて踊っているような。
そんな世界が一瞬見えた。
私は今ものすごく幸せ。
ユージンの運転する車は
橋の上の5車線のレーンを
ほとんど変更しないまま、
来た時と同じに
海のような川の上を快適に進んだ。
車が進むにつれ、
対岸のメルヘンの町の家は
少しずつ大きくなって、
ほぼ現実の大きさの家になったとたんに、
橋は終わった。
最初のコメントを投稿しよう!