911追憶

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「ターリータウンの一つ前の駅は、  アービントンと いってね、  ワシントンアービンという  有名な作家が生まれた町」 その作家はその地で、 『スリーピーホローの伝説』を書いた。 「映画にもなったし、そのあたりを、  今度歩いてみようよ」 「すごく行きたい」 「少し足を延ばせば、ロックフェラーの邸宅もあるし」 「あの大金持ちのロックフェラー?」 「そうだよ」 見どころ満載、 絶対、ユージンと一緒に行く。 なかなか二人の休みが合わないので、 いつになるかわからないけど、 近いうちに必ず案内する、 と言ってくれた。 「今度はもっと朝早くに出ようね。  そうしたらもっと遊べる」 そんなことを話しながら、 ハイウエイとブロードウエイを   乗り継いで マンハッタンのアパートに着いたのは 黄昏時。 私だけ車から降りて、 ユージンは一人で、 レンタカーを返しに行った。 8.爆音 翌朝、 いつものように8時ごろ、 起きて、朝食をすませた。 二人とも全然疲れてなくて いつもと同じべーグルを 「いつもよりおいしい」 と同時に言った。 スモークサーモンと クリームチーズを入れた セサミベーグル。 私が作ってユージンはコーヒーを入れた。 二人とも 10時半頃、家を出るので、 片づけなどしても 時間はたっぷりある。 ユージンは、その日、 銀行に勤める親友に会うため、 食後すぐ、 いつもより早めに家を出た。
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