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今度はゆっくりとお茶を飲む後輩を、僕はジッと見つめる。
学校でも部活でも、西条は髪の毛をいつも後ろに縛っていた。
しかしこうして病院のベッドに座る彼女は、肩まで届く長い髪を流している。
さっきからドジを踏んでいるものの、その姿はまるで深窓の姫君のようであった。
「西条ってさ、髪下すとめちゃくちゃかわいいのな」
「ぶふぉっ!?」
口にしていたお茶が容器内に噴かれ、再びむせこむ。
「かはっ、ごほっ、んんっ!! い、いきなりなんですか先輩」
「え?」
「いや、その、今、かわいいって……」
「言ったけど。別に変なことじゃないだろ」
僕の反応を窺って、ジトッと睨みつけてくる。
なぜか引いているかのような目つきであった。
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