17人が本棚に入れています
本棚に追加
「うわぁ……先輩って絶対天然ジゴロの素質ありますね。そんでもって彼女できたことないでしょ?」
「いきなりなんだよ……まあ彼女できたことないけど」
「高校2年生ににもなって、部活一筋ですか。汗の青春ですね……」
「いやそういうおまえだって彼氏いないだろ」
「……えっ? なんで先輩が知ってるんです?」
「あ……」
西条桃花はテニス部の女神のような存在だ。
誰にだって分け隔てなく優しいし、スケジュール管理と彼女ほどのマネージャーはそういない。
そのためか、部室内では彼女に惚れる者も何人かいた。
噂によれば告白した者もいると聞く。
そうした男たちの色恋沙汰の話の中で、西条には現在彼氏はいないという情報を聞いたのだ。
あくまで、横耳にチラッと、聞いただけだ。
「だっておまえ、いつも部活だろ? そんでもって男と一緒に歩いてたって話も聞かないし」
「あはは……そうですね。遊んでいる時間ないですし、いないと知られてもおかしくないか」
諦めたようにボフッと立てられたベッドに背中を預けて、「はあぁああ」と大きなため息をつく。
最初のコメントを投稿しよう!