第9章

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ピッピッピー! 試合終了を知らせるホイッスルがピッチにこだまする。 喜びを露にする我が校イレブン。 あまり感情を表に出さないキャラで教師をしている俺だけれど、心の中で思う存分ガッツポーズをした。 夏の予選を見事勝ち抜き、やっと区大会へとやって来たのだ。 ハードな練習メニューを懸命にこなすコイツ等を見ていたら、もっともっとと欲が出て、最近ではついつい地が出そうになってしまう。 今までそれを精一杯抑えつつやってきたが、この区大会優勝は本気で嬉しすぎだ。 わらわらと戻ってくる選手達と握手や抱擁を繰り返しながら、 「よく頑張りましたね。」 と少し興奮気味に声をかける。 中島とハイタッチを交わした後にやって来たのは佐伯だった。 俺に対してどう接したらいいのか戸惑っているような佐伯に対して、俺ができることはただ一つ。 「頑張ったじゃないか。お前のアシスト、良かったぞ。」 素の俺をさらけ出し、周りには聞こえないように小声で囁けば、物凄い驚きようで目を見開き俺を凝視した。
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