第9章

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勘弁してくれよ。 免職なんて冗談にもならない。 きっと彼女だって一時の気の迷いだ。 女子生徒は男性教諭との恋愛を夢見る傾向にあると聞いたことがある。 あと半年だ。 半年たって卒業すれば、彼女の熱も覚める。 俺のこのモヤモヤした胸中も。 すべて幻のように消えてなくなるんだ。 だったらこのまま。 何もなかったかのように教師の仮面をしっかりと被ってやり過ごせばいい。 クールダウンも済み、いつの間にか片付けも終わったグラウンドを夕日が染め始める。 専用バスに乗り込む際に絡んだ瑞穂との視線は、どちらからともなく震えた心臓と共にどちらからともなく逸らされてしまった。
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