第10章

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驚くほど震える指でスライドし、私と先生の時を繋げる。 「…もしも…し?」 なんて間抜けなかすれ声。 緊張も動揺も、きっと全部先生に伝わっちゃってる。 『遅くなってすみません。今、大丈夫?』 「っ!はいっ。」 思わず力の入った私の返事に、ふっと笑いを漏らした先生。 『いい返事。』 うわーうわー。 名前も名乗り合わずの会話なんて、わかり合えてるっぽくない? 『今からですが、少しだけでも出てこれますか?』 「はいっ。大丈夫です。」 耳元で聞こえる先生の声があまりにも近すぎて。 脳内溶かされそうだよ。
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