第11章

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「なんで、ここ?」 「なんとなくです。」 「そか。」 「はい。」 そのまま黙ってしまった先生が連れてきてくれたのは、学校からさほど離れていない市民グラウンド。 サッカー部で何度も使用したことのあるここは、ゴールネットと小さなベンチと外灯以外は何もない。 そのベンチに腰掛けて、どう沈黙を打破しようかと考えるけれど。 さっきから一匹の蚊が私の血を狙ってか、払っても払っても何度もチャレンジしにくるものだから気が気じゃない。 野外だとは思ってなかったから、虫除けスプレーなんてしてきてないし。 すぐ隣に座っている先生も気になるけれど、顔に蚊を留まらせた間抜けな私の姿を晒す事の方が気になって、必死に蚊を目で追う。
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