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パンッ!
「ひゃ!」
目の前で先生の両手が音を立て、私は肩をすくめてしまった。
「ごめん、驚かせてしまって。蚊が。」
手のひらを開くと、さっきから私を狙っていた蚊らしきものが、どうやら天に召されて逝ったようだった。
「血、出てないんで刺されてませんよ。」
「ありがとう。……や、それはいいんだけど…」
違うでしょ先生。
私はそんなことが気になってるわけじゃないんだよ。
何度も拒絶されているせいか、自分からはなかなか本題に入れないんだ。
いつまでも黙って座っているわけにもいかないっていうのに。
そっと漏らした溜め息に、
「すみません。」
先生の方がいち早く反応した。
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