第11章

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臆病? 先生が? 「自分の気持ちに向き合うことから逃げて。君からも逃げた。全て無かった事にしてしまおうとしてた。」 『聞かなかったことにします』 先生は確かにそう言った。 私の気持ちへの否定だと思っていたけれど。 「君の言葉に鼓動が乱されるなんて、あってはいけないことだと思ったから。」 本当は、そうじゃなかったの? 「先生…。」 「君の笑顔に惹かれていた。その誤魔化しようのない感情を、それでも何とか誤魔化そうとしていたんです。」 私は今、何を聞いたんだろう。 ずっと聞きたかった言葉。 何度も何度も想像して、自分を奮い立たせていた言葉。 それを今、先生から聞いた。 ねぇ先生…聞き間違いじゃないよね?
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