第3章

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大きな手がゆっくりと私の頭を往復し、そしてそっと離れた。 あまりに突然の出来事に具合が悪かったことも忘れてしまう。 ただ私の身体全部が心臓になってしまったかのような大きな鼓動に慌てふためく。 「ま、倒れてしまえば意味もないですけどね。」 ニヤリと意地悪な笑顔を見せる先生は、ギャップがあり過ぎて逆に破壊力抜群。 「でも、折角付けた知識と興味を最大限に活かしてマネージャーに精進してもらいましょうか。」 「はいっ!」 家に着くまでの長い時間、私は先生と色んな話をした。 ま…大半がサッカーの話だったけれど。 それでわかったことは。 先生は最初私が思い込んでいたよりも、うんと優しくて…実はうんと意地悪だったって事。 口調は優しいけれど、的確な毒舌を披露していた。 そんな所も惚れ直す要素にしかならなくて。 週明けからの部活が更に楽しみになりながら、少し近付いた中村先生との距離を何度も思い出して深い眠りについた…。
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