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ファストゥムが語る"筋"は、この部屋の様子を観ているであろう―――
上院にとっては、これ以上無いほど好都合な、"あらすじ"だった。
・・・だが。
「お断りします。」
天井から垂れる鎖を引く。
ガシャン、と大きな音がして、英雄の四肢を捕える鎖錠が、壁に吸い込まれる。
「ッツ・・・」
舌打ちに似た声を漏らし、ファストゥムは石壁に磔のように固定される。
"いたぶられる"と感じたのか、
「・・・好きにしろ。だが、殺せ。」
自罰的な要求の中でも、平静を装っている・・のではなく、
彼の所作や息遣いはまさに平静であり、胆の強さが滲み出ている。
私は、部屋に置かれた"器具"の中から、
太った" くぎ "ほどの針を―――手に取り、英雄ファストゥムに振り降ろした。
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