序章

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オイルランプの灯が揺れる。 2つの影を作る、頼りなく暖かい灯り。 暖色に染まる、肌色。玉の汗が浮く。 「今日が最終日だ、よく耐えたなぁ。お前。」 ―――太った男が、若い女に優しく言った。 栗色の髪、セミロング。やつれた頬。 手足を鎖錠で"固定"された若い女、 着ていた服はすべて破かれ、布きれになって床に散らばっていた。 健康的な肌に、女性的な凹凸が影を落とす。 太った男は、若い女の肌に手を伸ばして――― 女の右胸、"先端"をころころと指で転がして 「お、おっ!お前、固くなってきてんじゃあ、ねえか。」 ―――ダハハ、と男は下品に笑う。 若い女は目を閉じて、唇をすぼめ、顔を伏せる。 肩が少しだけ上下して、吐息の音が大きくなる。 太った男は、乱暴に若い女の乳房を弄んだ後――― 「おう、こっちもいい、具合だなぁ。」 今度は細い足の間。乙女のそこを―――ゴツゴツした指でまさぐり、つぶやいた。 「んぅ、」ソプラノの音色、女は赤面。上気した頬、涙。 「お前、殺されるってよぉ…………まぁ、俺様の"便所"になるって誓うなら、助けてやってもいいぜぇ。」 無遠慮に、太った男は指を動かし続けた。 「っな、なん、でも、しますっからッ助…っぁ!…助けて、下さっ、ぁい。」 湿った音が石壁に響く。 過呼吸の症状にも似た―――肩で息をする若い女は、唇を噛みながら言い切った。 太った男は、口を三日月の形にして、笑った。
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